夫婦などのパートナーがいる場合、パートナーを受取人に指定した生命保険契約に加入することは一般的です。
世帯主に万が一があった場合の残されたパートナーの生活保障のために生命保険は有効ですが、同性パートナー同士の場合は、生命保険で対応できるのでしょうか?
また、そもそも生命保険は必要なのかどうか、考えてみましょう。
目次
現状におけるセクマイと生命保険
異性パートナー同士における生命保険は一般的ですが、従来、同性パートナー間での生命保険契約は現実的ではありませんでした。
その話の前に、まず生命保険の簡単な基礎知識からお話しします。
場面により必要となる商品は異なる
一口に生命保険といっても、その商品性は様々で、対象となる保障が異なっています。
生命保険に加入し、保障の対象となる人の事を「被保険者」と言いますが、この被保険者が、死亡した時に保険金が支払われたり、入院をしたときなどに支払われる商品があったりと、それぞれの人の目的に合わせて保険商品を選択、加入するわけです。
保険商品や、商品の内容、保障の大きさ、加入時の年齢や性別などの条件により、支払う保険料は異なります。
保険金受取人の指定は・・・
生命保険契約を行う時には、保険金の受取人を指定します。
入院時の保障を行う医療保険なら被保険者本人が受取人となりますが、
被保険者が死亡した時に支払われる死亡保険金の受取人は、当然ながら
被保険者以外の人を指定することになりますよね。
通常であれば、死亡保険金の受取人は、遺族である配偶者や子供などになります。
セクマイの場合、同性パートナーを死亡保険金受取人に指定することはできるのでしょうか?
実は、従来多くの保険会社では、原則として本人の配偶者または2親等以内の血族を指定の範囲としており、同性パートナーを受取人指定することを認めない保険会社が一般的でした。
親等というのは、親族の近さを自分から数えたもので、
血族というのは、血のつながりがある親族を指します。
自分の親であれば1親等、祖父母であれば2親等、という感じですね。
生命保険の場合は、高額な保険金のために犯罪に巻き込まれることもあるので、そういった観点からも、第三者を受取人指定することは難しいのですね。
同性パートナー受取指定が可能な会社も
平成27年にネット系生命保険会社が、同性パートナーの死亡保険金受取人を認め話題になりました。
同性パートナーを受取人指定するには、いくつかの条件をクリアする必要があり、
- 同居をしていること
- パートナーシップを証明する書類の提出
などがあります。
これに付随するように、何社かの生命保険会社が追随をした形となっておりますが、正直なところ現状においては保険会社によって温度差もあるようで、どこでもよいというようには思えません。
企業が本当にLGBTに対して理解を持っている会社を選ぶ必要があるでしょう。
当サイトでも、保険商品をご紹介できますのでご関心がある方はお気軽にお問い合わせください。
こんなニーズがある方は検討
性的マイノリティの方であるかないかに関わらず、
生命保険への加入は、必要がある人が考えればよいことです。
世帯主が亡くなった場合に、手当てできる資金だけでは必要となる生活費などの資金をカバーしきれない場合に、その不足分を生命保険でカバーする、というのが基本的な加入の仕方です。
ですから、手持ちの貯金や資産で遺族の必要資金が賄えるのであれば、極端な話、生命保険に加入する必要はないのです。
生命保険の保険料をずっと払い続けることも、かなりの出費ですからね。
LGBTの場合、ゲイの方と話しているとよく聞かれるのが
「ずっと一緒にいたパートナーに、気持ちくらいは残したい」という言葉です。
要するに、遺族の生活費、というような大仰なものではなく
「ありがとう」の気持ちを残したいという考え方。
とてもわかりますよね。
だから、少額だけでいいんだけど、同性パートナーを受取人指定できないものかと問い合わせは非常に多いですね。
いろいろな考え方がありますが、当サイトでは、一般的な生命保険の考え方とはまた違う観点も、LGBTの場合はアリだなと感じる次第です。
税金的なメリットはないことに注意
生命保険に加入をすると、一般的に税金上の特典を受けることができます。
例えば、払込む保険料は、その年の所得税を計算する際に「生命保険料控除」という所得控除を受けることができます。
これは、所得金額を圧縮することができるので、結果的に所得税・住民税を軽減する効果があります。
ただし、生命保険料控除を受けるには、保険金の受取人が本人または配偶者、所定の親族となっている契約にかかる保険料が対象となり、同性パートナーが受取人となる契約に関しては、対象とはならないのです。
また、死亡保険金を受取った場合、相続税を計算する上で所定の計算で求めた額を課税価格から控除することができますが、これも同性パートナーの場合は、「相続人」ではないため、適用を受けることができません。
このように、夫婦間等であれば普通に受けられるメリットがないことは現段階においては致し方がないことと思うしかありません。
まとめ
以前は、同性パートナーに感謝の気持ちを残したいと思っても、制度上同性パートナーを保険金受取人に指定することはできませんでした。
それが、少しずつ変わってきたわけです。
現状においては税制上の特典は受けることができませんが、まずは1歩前に進んだわけです。
普段、側で支え助けてくれるパートナーに、ありがとうの気持ちを表したい、という方は検討されてみると良いでしょう。
よろしければお気軽にお問い合わせください。