LGBTとパートナーシップ契約書

パートナーシップ

欧米諸国を中心に諸外国では、同性パートナーについての法的な保障が整備されてきています。

しかし、日本においては現段階においては残念ながらまだまだ世界に後れを取っている状態です。

LGBT(性的マイノリティ)のライフプランニングを考えていくうえで、様々な面で法的な保障が得られるかどうかという点は、今後においてとても重要なことです。

当たり前のことが当たり前に保障される。

何時かは日本もそういう時がくると思いますが、ここでは現状を簡単に確認してみましょう。

パートナーシップ契約書とは

2015年東京都渋谷区において
「渋谷区男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例」
(通称:性的少数者を支援するための同性パートナーシップ条例)
が施行されました。

条例によれば、「パートナーシップ」とは

「男女の婚姻関係と異ならない程度の実質を備える戸籍上の性別が同一である二者間の社会生活関係をいう(第2条の8)」とされています。

第10条においては「区長は、第4条に規定する理念に基づき、公序良俗に反しない限りにおいて、パートナーシップに関する証明(パートナーシップ証明)をすることができる」としています。

また、性的少数者の人権を尊重すると定め、区及び公共団体、区民、事業者の責務を定義、施策を総合的かつ計画的に推進するための「男女平等・多様性社会推進行動計画」の策定、公表をするとしています。

パートナーシップ証明を受けるには
  1. 当事者双方が相互に相手方を任意後見受任者の一人とする任意後見契約を結び、登記する
  2. 共同生活を営むにあたり、当事者間で区規則で定める事項についての合意契約を交わす

<参考>
「渋谷区男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例」はこちら

パートナーシップ証明を受けるとどうなる?

残念ながら、渋谷区などのパートナーシップ証明を受けたとしても、法的に強制力や拘束力を持つものではありません。

国の法律で規定のないことに対し、地方自治が法の範囲を超え何かしらの法的根拠を与えることはできません。しかし、地方自治の裁量で決められることであれば話が異なる部分もあります。

例えば、渋谷区の場合であれば、同性パートナーとの区営住宅の入居や
同性パートナーの入院や手術といった医療での付き添いなどが可能になりました。

また、このような自治体のパートナーシップ証明を受けることで
同性パートナーを保険金受取人とする生命保険への加入も一部の保険会社で可能となっています。

渋谷区の条例のように、少しづつでも広がりを見せていけば社会への大きな啓蒙となっていくことでしょう。

第三者に対するためには、いくつかの書面の作成も

上記のように、パートナーシップ証明により
同性パートナーへの理解は進んでも、法的保障というと拘束力や強制力はありません。

より第三者に対するためには、いくつかの書面を作成していくことが必要となります。

  • 当事者間同士の約束事
  • パートナーの医療に関する意思を示す書面
  • 財産の管理
  • 事理弁識能力(法律判断能力)が衰えた際(認知症など)の契約行為等の代理を委任する
  • お互いが死んだ後の事後整理など

現状においては、これらに関する書面を作成することで
同性パートナーとの生活について裏打ちをしていくという方法が有効です。